2023年3回東京4日目

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  馬場コメント
 先週の芝の馬場差2000m対象の数値は土曜がマイナス2秒0からマイナス2秒3への変動、日曜がマイナス1秒4からマイナス0秒9への変動でした。まずは遡って8日間の馬場差を確認しておきますと、雨の影響を大きく受けたこの開催初日を除けば、全てマイナスの数値でほとんどマイナス1秒を超えています。また、マイナス2秒台の開催も多く、基本的に速い時計の出るコンディションです。
 土曜はですね、雨の影響が残っていたんですが、マイナス2秒0でスタートして後半は乾いてさらにマイナス方向に数値が動く高速馬場でした。日曜は朝の時点で雨の影響を受けた中でスタートしました。さらにですね、断続的に雨が降って徐々に時計が掛かって行きました。逃げ馬の進路取りを見ますとね、インコースが荒れて来てダメという事はなくて、特に内・外のトラックバイアスが出現しなかったです。インで立ち回った馬に有利なレースが多かったとは言っても、要はね瞬発力の有無の問題で、瞬発力があれば後方からでも届いていましたね。
 先週の馬場差1600m対象の数値は土曜がマイナス2秒3からマイナス2秒0への変動、日曜がマイナス2秒6からマイナス3秒1への変動でした。遡って8日間の馬場差を確認しておきますと、全てマイナスの数値ですが、終日良馬場だった前の開催最終週が、この期間では最も時計が掛かっていました。一方、他の開催日は全て変動で、マイナス3秒台になる事もあるほどで、雨の影響でほとんどはかなり速い時計の出るコンディションでした。
 土曜はマイナス2秒3でスタートしまして、後半は少し乾いて数値は水準方向に動いたんですが、終日マイナス2秒台です。日曜は雨の影響でマイナス2秒6からさらにマイナス方向に動いて、これはもう超のつく高速馬場になった訳です。1週目との大きな違いはですね、3日目つまり土曜はですね差し・追い込み馬の活躍が目立った事です。日曜前半は再び先行有利の傾向になったんですが、まぁ午後になってからは差し・追い込み馬も台頭しています。


  タイム分析
 2023/06/11 (日)  芝=-1.4 → -0.9  Cコース
R 距離 勝ち馬 2着 性齢 条件 走破T T差 P補正 完T差 馬場差 WL TL ML 次走
4R T2400 ヴァリージア 牡3 未勝利 2:27.6 -0.3 -0.6 +0.8 -1.7 D D 6.76
5R T1800 ダノンエアズロック 牡2 新馬 1:48.1 -1.4 -0.3 -0.5 -1.2 B B 3.89
6R T1600 アサクサヴィーナス 牝3 未勝利 1:35.4 ±0 -0.3 +0.7 -1.0 D D 7.65
8R T2000 マイネルビジョン 牡3 1勝クラス 2:00.6 -0.2 -0.5 +0.4 -1.1 D D 8.11
11R T1800 ジャスティンカフェ 牡5 エプソム(G3) 1:45.5 -0.1 --- +0.8 -0.9 D D 7.31
12R T1600 マルチャン 牡3 1勝クラス 1:34.9 +0.1 -0.3 +0.5 -0.7 D D 8.54
 2023/06/11 (日)  ダ=-2.6 → -3.1
R 距離 勝ち馬 2着 性齢 条件 走破T T差 P補正 完T差 馬場差 WL TL ML 次走
1R D1600 プチボヌール 牝3 未勝利・牝 1:36.2 -2.7 --- -0.1 -2.6 C D 6.00
2R D1400 オーラビルス 牡3 未勝利 1:23.4 -2.3 --- +0.1 -2.4 C D 6.00
3R D1600 ロジホーム 牡3 未勝利 1:36.0 -2.9 --- -0.1 -2.8 C D 8.71
7R D1600 リバートゥルー 牝3 1勝クラス・牝 1:36.5 -1.5 -0.4 +1.0 -2.9 SL D 7.50
9R D2100 セラフィックコール 牡3 八王子特(2勝) 2:07.9 -3.4 --- +0.5 -3.9 D C 8.62
10R D1600 ケイアイシェルビー 牡5 夏至S(3勝) 1:34.1 -2.3 --- +0.8 -3.1 D D 7.73

東京2R 3歳未勝利 
1着:オーラビルス 通信簿
 1番人気1着でした。まぁ1度使ってですね、気配が上向いていましたし、これはもう力通りの走りですからね順当勝ちと言って良いと思います。
東京5R 2歳新馬 タイムB
 このレースの勝ちタイムは、当開催2歳新馬戦の基準タイムより1秒4速く、1800m対象の馬場差がマイナス1秒2だった事を踏まえると、 -1.4-(-1.2)=-0.2 となりますが、ペース補正が0秒3入っており、 -0.2-0.3=-0.5 で、基準より0秒5速い勝ちタイムとなります。
1着:ダノンエアズロック 勝ち馬注目
 評判馬ダノンエアズロックが1番人気に応えて勝ちました。ダノンエアズロックは2022年のセレクトセール1歳部門、税抜き4億5000万円の超高馬で、父はモーリス。半姉にですね重賞3勝のプリモシーンがいて、まぁねこの良血らしい品の良さというのが感じられましたし、センスも良かったんですが、まぁまだ素質だけで勝ったと印象が強いですね。まぁね、能力はこんなものではないはずですよ。
2着:ピースヒロフェイス 
 そして2着争いは接戦になり、ピースヒロフェイスがアタマ差先着しました。ピースヒロフェイスは7番人気と低評価でしたが、調教は水準に動いていましたし、上がり600m最速タイと調教より実戦の方がパフォーマンス上がりましたね。次走も有力です。
3着:シトラール 番組注目馬
 3着のシトラールは勝ち馬の対抗格とされて、2番人気でしたが2着馬の競り合いでわずかに遅れました。それでもしっかりと脚は使っていますし、記録とすれば2着馬と同等です。こちらルージュバック・ポタジェの半弟で、馬体も良いですからね、次走も上位候補になります。
東京7R 3歳以上1勝クラス・牝 タイムSL
 前半が遅く、補正しきれずスローの扱いとします。勝ったリバートゥルーについて。
1着:リバートゥルー 
 今回ですね、この馬の何が凄いかと言いますと、上がり600m33秒9で勝った事なんです。これはですね馬場状態と、あるいはタイムランクSLというペースの後押しがですね、あったとは言えですね、東京ダートで上がり33秒台を使った馬は過去に1頭(ニシノジャガーズ)しかいません。勝った馬はこの馬だけなんですね。史上初という事になるかな。ですから、この勝ち方はですね、しかもこの極めて高いスプリント性能を示すものですね。ですから、将来はねダートの短距離の差し馬だと思うんですが、相当な活躍が期待できると思います。
東京8R 3歳以上1勝クラス 
3着:オールマイデイズ 通信簿
 1番人気3着でした。一旦ね上がった雨がですね、またレース直前に強く降ってですね、ちょっと嫌な予感がしたんですけれども、重馬場の山藤賞でもですね、先着している相手にですねこれ勝たれてしまった訳で、やはり良馬場が理想かなという所でしょうか。
東京11R エプソムC 重賞
 タイムランク・メンバーランクともにDでした。レースの序盤ですが、位置取りなどいかがでしょうか。ジャスティンカフェはこの時点では最後方。まぁ今回は自分のリズム優先という事があったと思います。ハナを切ったのはね、押してこのショウナンマグマですが全体的なペースで言うと平均ペースかなという感じはしましたね。前半の1000mが58秒3ですから、後半のラップを含めてこれは平均ペース。昨年は逆に超スローペースだったという事です。直線に入ってルージュエヴァイユが抜け出して行きます。これはやっぱり内の攻防と外の攻防を分けて見る必要があるんですが、案外内の2頭がしぶといですよね。2着のルージュエヴァイユと3着のマテンロウスカイ、この辺の内の攻防に外からジャスティンカフェが、まぁ1頭だけ追い込んで来たと言っても良いでしょう。ここで勝負はついています。と言うか、もうその前に勝負はついてるんですが、終わってみれば1強と言いますかね、このレースで1・1/4差という着差は、もう完勝も完勝。私は圧勝という評価で良いと思うんですよね。
1着:ジャスティンカフェ 
 ジャスティンカフェはやっぱり、あまりコーナーで加速するのが上手なタイプではないので、自分のペースでゆったり走らせて、終いを伸ばす。そういう風に考えますと、やっぱこの馬のベストというのは、東京のコースという事になります。ですから、遡って昨年の毎日王冠でサリオスを負かすかというレースをした訳ですし、この舞台がベストですから、これからやはりそういう舞台がこの馬、大きいレースを狙っていく目標になって行くと思います。レースについては素晴らしい追い込みを決めた。元々瞬発力があるのはわかっていましたし、いかにスムーズに直線向いて、何の邪魔もされずに走らせるかという事を、まぁ横山和生騎手は心がけたという事で、レースプランは凄く簡単だったような気がします。
2着:ルージュエヴァイユ 
 2着のルージュエヴァイユですが、2番手から積極的な競馬でしたね。これはもう初動が素晴らしかった。外枠なんで、ポジションを取りに行ったんですが、取りに行くと引っかかるから、なかなかああいう事できないんですよね。これはある意味ね、福永祐一騎手がワグネリアンでダービーを勝った時の最初の1コーナーまでやったね、あれと同じですね。ですから、それをやったら引っかかるというリスクがあるけど、それを恐れずにやったというのは、やっぱり石川裕紀騎手というのは、近い内大きいレースを勝てるぐらいの、関東の有望株だと思ってますが、それをやった事によってこの馬が2着に走る事ができたと。最大の勝因は、もうスタートで決まってますね。
3着:マテンロウスカイ 
 3着のマテンロウスカイは今回好位に控えて来ました。流石に前回逃げた後ですから、少しこうやっぱり力み加減なんですが、でもこの馬の力み加減とすれば、まぁ収まってる方だと思うんですよね。ただやっぱり序盤、ルージュエヴァイユはすぐこう収まりがついたんですが、やはりマテンロウスカイの場合は少し力み加減の部分の区間がちょっとだけ長かったような気がするんですよね。その分の差が、最後のゴール板前の着差に僅かな着差ですね、に出てしまったという気がしますね。
4着:レクセランス 
 その後の4着・5着はジャスティンカフェの後ろから追い込んで来た2頭。レクセランス・エアロロノアでした。まずレクセランスですけど、やっぱり1800mの距離がどうかなという所が問題だった訳ですが、まぁそこそこ、及第の瞬発力は使えたかなという評価なので、色々これで距離の選択肢と言うかな、幅が広がったと思います。
5着:エアロロノア 
 その後の4着・5着はジャスティンカフェの後ろから追い込んで来た2頭。レクセランス・エアロロノアでした。それからエアロロノアですが、ジャスティンカフェが上がり600m34秒3、こちらが34秒4ですから、わずか0秒1遅いだけじゃないかっておっしゃるかもしれませんが、この0秒1が全然競馬見た目でも全然違いますよね。これが現時点での本当の力の差と言うか、わずかなんだけど大きな差なんですよね。力は出し切ったと思います。
7着:インダストリア 
 それからインダストリア、吉岡さんの注目馬でしたが7着でした。ちょっと張り切りすぎたと言うか、まさかあそこまで力んで走るとは思いませんでした。従って、折り合いを欠いたというのが一つ敗因になりますし、馬場も合わなかった節もありますから、まぁこの7着は度外視して良いと思います。
8着:ヤマニンサンパ 解説推奨
 まぁ骨瘤(こつりゅう)のために休養していてですね、今回はおよそ10ヶ月ぶりの出走でした。前回の重賞展望で最後に触れた馬なんですが、休養前のね関越ステークスでは不利を受けて力を出せずですね、いかにも次走で狙える馬という負け方をしていました。そして今回ですね、レースぶりですが4コーナーではインにいたんですが、直線で前がずらりと壁になって、まぁ1番外に持ち出すしかなくてですね、それでもそこからしっかり伸びていました。思っていた通りと言うかね、オープンでも通用する能力は確認できました。問題は次走がね、どのレースになるかわからないというところなんですけれども、夏のG3のハンデ戦でもね狙って行けるんじゃないかなと思います。
9着:フィアスプライド 
 フィアスプライド9着、思ったよりも前の位置で競馬していましたね。返し馬を見た時に、素晴らしく良くて、これ今日走るんじゃないかなっていう感じがあって、私も三角を打ったんでちょっと期待してたんですが、状態が良すぎたのかな。やっぱりちょっと力んであのポジションになってしまいましたね。本来はやはり後ろでしっかり折り合って、脚を使うタイプ。そういう意味では力み、他の馬も結構力んだ馬いるんですが、競馬って折り合いが大事だなっていう事ですね。
11着:エアファンディタ 
 エアファンディタが11着でした。こちらは何かね進みが悪かったような感じがありますし、結局外にも出せず、内を突くしかなかった。かと言ってじゃあ伸びてるかって言うと伸びてもないし、でもバテてもないっていう感じで、非常にこう中途半端な負け方になったと思うんです。本来はやっぱりエアロロノアぐらいの脚を使えて良いと思うんですけれどもね、ちょっと敗因は特定できないと思います。
15着:ショウナンマグマ 
 ショウナンマグマ逃げて15着に敗れました。もう押して押して行く気でハナを切りましたよね。平均ペースですし、特にここまで大バテするような流れではありませんでした。ちょっと負けすぎですね。本質的には1800m向きの馬なんだけれども、2ターンの小回りコースという事になるのかなと思います。ですから、狙い目は七夕賞辺りかな。

解説者:吉岡哲哉(競馬ブック)
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